三井物産様事例紹介:総合商社におけるAlteryxを活用したデータ加工・分析業務の効率化及び高度化 #alteryx

三井物産様事例紹介:総合商社におけるAlteryxを活用したデータ加工・分析業務の効率化及び高度化 #alteryx

2023年7月20日Alteryx社主催「Inspire On Tour Tokyo」へクラスメソッドはゴールドスポンサーとして協賛しました。様々な業界のユーザー企業によるデータ戦略や活用事例が紹介され、クラスメソッドを含むパートナー企業からも講演や展示ブースを設けました。多くの来場者様がいらっしゃいましたので、本イベントの内容をレポートします。
Clock Icon2023.08.09

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こんにちは!アライアンス事業部の清水です、7/20にAlteryx Inspire On Tour Tokyoが開催されました。

本記事では、弊社顧客でもある三井物産株式会社 丸山様による「総合商社におけるAlteryxを活用したデータ加工・分析業務の効率化及び高度化」のセッションをレポートします。

セッション概要

総合商社におけるAlteryxを活用したデータ加工・分析業務の効率化及び高度化

総合商社では様々な領域でビジネスを行っているが、どのようなビジネスでもデータ加工・分析業務の効率化及び高度化は大きな課題となっている。Alteryxを活用することで、データの①取得、②加工、③分析を大幅に効率化・自動化するとともに、分析内容の高度化した事例を紹介。一連の業務プロセスを効果的に整備することで、非常に汎用性の高いプロセス改善が可能であることを紹介。

三井物産株式会社 リスクマネジメント部 リスク評価室 室長 丸山 秀幸氏

  • 国内大手生命保険会社、外資系人事コンサルティング会社にて企業年金の制度設計/退職給付債務計算に従事
  • 国内大手証券保険会社にて年金資産運用コンサルティング業務及びBasel資本規制対応に従事
  • 保有資格:アクチュアリー正会員、年金数理人、証券アナリスト検定会員

冒頭

はじめに

本セッションは、Alteryxの実務的な利用方法や初心者向けの導入手順が焦点。まだAlteryxを使用していない方を含め、幅広い読者に役立つ内容をお届けしたい。

とご挨拶がありスタート。

ご経歴

生命保険会社から外資系コンサルティング、そして国内証券会社と様々な経歴を経てきた丸山氏。キャリアの中で一貫してデータと向き合いながら業務を行ってきたことが強調されていました。

特に20年前、VBAやマクロを駆使してデータ処理をしていた経験を振り返りつつ、現代の高機能なツールである「alteryx」について、もし若い頃に「alteryx」を知っていたら、キャリアが大きく異なっていたかもしれないと述べています。

活用状況

2018年から利用開始

2018年よりalteryx Designerを社内で利用開始。リスクマネジメント部を中心に、経理部など他の部門でも使用が増えており、徐々に社内での導入が拡大中とのこと。また2022年にalteryx Serverを導入し、タスクの自動実行が可能となり、スタッフはより付加価値の高い作業に集中できるように。現在では、経理部をはじめとする他のグループ会社でもalteryxの導入が進められているとのことです。

総合商社のビジネスとリスク管理

日本を代表する総合商社の三井物産様。

総合商社としての業務は多岐にわたり、IT、医療、物流など多様な分野にわたり、一枚のスライドでは表せないということでした。

このような多岐にわたる業務の中で、信用リスクや市場リスク、カントリーリスクなど、さまざまなリスクが存在し、丸山氏の所属するリスク管理部署は日々これらのリスクをモニタリングし、適切な対応を取る必要があります。そして日常業務を遂行する中で、多種多様な情報に触れることとなり、その大部分はデータという形で存在していて、多様なデータを適切に扱うことが、一つの大きな課題となっているということでした。

メイン

業務プロセス

導入前>>膨大なエクセル手作業とデータの重複

  1. 異なる部門でのデータ加工のバラバラさ: 企業内でのデータ加工や集計が各部門でバラバラに行われており、手法も異なる(VBAの使用、システム構築、手作業など)ため、全体としての一貫性が欠けていた。
  2. データ重複の問題: 各部門で同じデータの取り扱いがあり、上層部への報告の際に重複する作業が絶望的なほどに存在。これにより作業効率が落ちていた。
  3. 業務改善と効率化への取り組み: データドリブンな世界の中で、各本部の人たちがバラバラにデータを取ってくる問題に対して、一元化してスマートに作業をできないかという点で悩みながら業務改善を進めている。

導入の前提条件と障壁

技術スキルの不足

  1. データの非統一性: 同じデータが全社で共有されているにも関わらず、事業部ごとの独自性からそれぞれが異なる方法でデータを利用。この結果、業務において標準化が進まず、重複が多く発生。
  2. 技術スキルの不足: 企業内にはDX(デジタルトランスフォーメーション)に熟練した人材や技術職種の者が少なく、交渉事が得意な文系の人材が多い。実際の技術的なソリューション、特にPythonなどコーディングに関する取り組みが困難。
  3. 生産性向上のプレッシャー: トップマネジメントからの生産性を上げるという要請が強く、リソースの配分や人員の調整が行われる前に、生産性向上の取り組みが求められている。

導入時の障壁

導入時には、新しいツールに対する心理的抵抗(自分たちの業務がツールへ置き換わってしまう)、上層部の巻き込みと理解の浸透、DXの内製か外注かの検討、高度な使い方を求めるスキル維持の必要性、そして技術的な設定やメンテナンスといった課題が主な障壁としてあったということでした。

取り組み方針

業務プロセスの最適化を、導入に際し見直し

  • 単に既存のフローを自動化するのではなく、業務の本質を見直し最適化することが必要。
    • 複数人が同じデータをダウンロードするような冗長な作業を止める等。
  • 業務プロセスの根本的な最適化を前提とした時に、alteryxはその効率性を最大限に引き出すツール。
  • alteryxを使用してクレンジングや整形を行ったデータ→Power BIで可視化。

業務プロセス

導入後>>

「良くなった点」

  • 大量のデータを柔軟に高速に処理が可能に
    • 数字の列を行に転置するなど、特定の処理を要するデータも、alteryxを使用すれば柔軟に処理ができる。
    • 時間の節約や効率の向上。
  • リレーションデータの問題解消
    • 複数のリレーションデータを単純にBIツールに取り込むと、パフォーマンスの問題やメモリの消費などの問題が発生する場合があり、PowerBIでの表示や分析には、1つのファイルに整理が必要だった。
  • BIツールの機能が最大限に活かされように
    • alteryxはデータ加工の際に、1つのファイルに豊富な情報が含めることが可能なためBIツールを最大限活かせるように。

「注意点」

  • 全自動化のリスク
    • alteryxを使用する際の注意点として、すべてのプロセスを自動化することは避けるべきである。過度な自動化はワークフローの複雑化を招き、管理が難しくなる可能性がある。
  • マニュアル作業の価値の見出し
    • 特定のフローは人の手で行うことを敢えて選択し、バランスの取れたデータ処理が必要。

効果

朝外部の金融ベンダーからデータを取得し、自動加工して商品ごとの価格変動を分析する仕組みを構築

価格データの自動化と効率化

  •  以前は商品価格やコモディティ価格の分析が人手を介し大変だったが、alteryx導入により日々の分析が容易に。
    • かつては人手で数十時間かかるような作業が効率的に行えるようになり、何千万や億の単位での人件費削減が期待。

データの高度化とレバレッジの向上

  • 以前は手動での分析で商品価格の分析が数分で1〜2つしか行えなかったが、alteryx導入により商品数を問わず多数の分析が可能に。また複数のデータの連携や統合、詳細な分析も実施可能に。
    • 分析のレバレッジが向上し、結果としてこちらも人件費の大幅な削減や効率化が期待。

alteryの良いところ

  1. データ処理の高速性
    1. 昔のVBと比べ、大量のデータを短時間で処理する能力。
  2. メンテナンスと拡張性
      1. ワークフローの見やすさとメンテナンスのしやすさ。
      2. 内製化の利点と、エンジニアが不在でも扱えるシンプルさ。
      3. ノンコーディングの美しさと、ワークフローにコメントを追加する機能
  3. 柔軟性と即時性
    1. 新しい課題や分析のニーズに応じて、ワークフローを迅速に実装・充実。
    2. 既存のシステムの制約やコスト、時間の問題を解消。
  4. 外注のデメリットの回避
    1. ベンダーとの長いコミュニケーションや費用の問題を解消。
    2. 内製化による迅速な開発と対応が可能。
  5. 汎用性の高さ
    1. さまざまなデータや業務に適応する能力。
    2. データを選ばない、多様なデータ業務での活用が可能。

今後

国内からグローバルな展開を目指し、拠点間のデータ連携を強化していき、これまであったシステム開発の外注依存を減少させていきたいということでした。またデータダウンロードの時代を超え、APIを活用した取得方法へのシフトと、外部システムとの連携を強化して、お客様の取引先モニタリングなどの要求に即応する体制を築き上げていきたいと締めくくりました。

おわりに

日本の経済発展だけでなく、世界の持続的な成長にも大きく寄与している三井物産様。そんな三井物産様でもデータ活用の挑戦や課題を感じているというのは、非常に興味深い発見でした。今回のセッションで、データ活用に関する悩みの種は業種業界を超えて共通しているのだと感じ、改めて弊社としても課題解決を進めるパートナーシップをさらに強化していけたらと思いました。

この記事が、どなたかのお役に立てば幸いです。

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